「頭痛がするけど、病院に行くほどでもないし市販薬でいいか…」
「喉が痛いから、いつものうがい薬・スプレーを使おうかな?」
そんな時、手軽に買える市販薬はとても便利ですよね。でも、ちょっと待ってください。市販薬は安全性が高いから、使ってても問題ないと思い込んでいませんか?
実は、市販薬の中には、妊娠中に注意が必要なものがあります。本人にとっては「いつもの薬」でも、赤ちゃんにとっては「思わぬリスク」になる可能性が…。
今回は、妊娠時期による薬の影響の違いと、よくある注意してほしい市販薬を紹介します。市販薬を使うときの参考になれば幸いです。
妊娠時期と薬の関係性:時期によって変わるリスク
『時期によって、赤ちゃんへの影響が違うことを知っていますか?』
まず知っておいてほしいのは、妊娠の「どの時期に」薬を飲むかによって、赤ちゃんへの影響の内容や大きさが変わるということです。大きく分けて、以下の「無影響期」「絶対過過敏期」「相対過敏期」「比較過敏期」「潜在過敏期」5つの時期に分類されます。

無影響期(0〜27日目)
「All or none(全か無か)」と言われる時期です。多くの場合、妊娠に気が付かずに薬を飲んでしまう時期。妊娠不成立になるか、多少の損傷であれば修復され妊娠が継続するかのどちらかであると考えられています。妊娠が継続している場合、この時期に服用した薬については心配する必要はないとされています。
絶対過敏期(28〜50日目)
妊娠2ヶ月にあたるこの時期は、赤ちゃんの脳や心臓、主要な臓器が急速に作られる非常に重要な期間です。そのため、薬の影響による催奇形性(奇形が起こる可能性)が最も高いとされています。この時期の薬の服用は、最大限の注意が必要です。
相対過敏期(51〜84日目)
主要な臓器の形成が続く時期ですが、絶対過敏期に比べると催奇形性のリスクは徐々に低下します。しかし、まだ臓器の分化や発達が遅れている可能性もあるので、注意が必要です。
比較過敏期(85〜112日目)
重要な器官の形成は終了となる時期ですが、ずれ込むことも想定される時期です。まだ、薬の使用には注意しましょう。
潜在過敏期(113日目〜出産)
妊娠中期から後期にあたるこの時期は、催奇形性のリスクはさらに低くなります。しかし、高血圧や心不全、腎疾患に使えあれるような「ACE阻害薬」「ARB」、ミソプロストールなどを除いて、薬による奇形はほとんど起こりません。
しかし、薬によっては胎盤を通して赤ちゃんに悪影響を与える胎児毒性(赤ちゃんの成長や機能への悪影響)を引き起こす可能性があります。
「もしかして妊娠しているかも?」と思ったタイミングから、自市販薬を己判断で使用するのは控え、医師・薬剤師・登録販売者に相談するようにしましょう。
「これなら…」が危ない?注意が必要な3つ
薬局で勤務しているとよく相談されるトップ3は「痛み止め、漢方、サプリメント」です。今回はその3つについて紹介しますが、他にもたくさんあるので、記載がないから安全という訳ではありません。
1. 痛み止め(頭痛薬)
妊娠中の痛み止めは「アセトアミノフェン」が推奨されています。
ロキソプロフェンやイブプロフェン、アスピリンなどが含まれる痛み止めには注意が必要です。「NSAIDs」は妊娠後期に使用すると赤ちゃんの血管(動脈管)が狭まったり、腎機能が低下したりと重大な影響を及ぼす恐れがあります。
2. 漢方薬
「漢方なら自然由来だから安心」というイメージがあるかもしれませんが、それは大きな誤解です。ダイオウ・ボウショウ・コウカ・ゴシツ・トウニン・ボタンピ・ブシのいずれかを含有する漢方を使用する場合には医師に一度相談するようにしましょう。
早産や流産のリスクになったり、副作用が現れやすくなったりすることがあります。
ドラッグストア等で自己判断で使用することはせず、医師や薬剤に妊娠していることを伝えるようにしてください。
3. サプリメント
栄養補給のつもりが、逆効果になることもあります。例えば、ビタミンAの過剰摂取は、赤ちゃんの奇形のリスクを高めることが知られています。レバーや鰻といったビタミンA含有量が多い食品やサプリメントの大量摂取には注意が必要です。
また、医薬品やサプリを海外から取り寄せるケースも近年増えています。成分が全く異なる偽物である可能性もありますが、妊婦にとって好ましくない成分が含まれている可能性もあります。十分に注意してください。
購入前に必ず伝えてほしいこと
何度もしつこいようですが
『薬局、ドラッグストアで薬を買うとき、妊娠中であることを伝えていますか?』
市販薬を購入する際は、たとえ「いつもの目薬」や「湿布」であっても、必ず薬剤師や登録販売者に「妊娠中」と伝えてください。
以前の記事でお話しした「お薬手帳」も、ぜひ活用してください。あなたが今、どのような薬やサプリメントを飲んでいるか、アレルギーはないかといった情報は、安全な薬選びの大きな助けになります。
まとめ
妊娠中の薬選びは、お母さん自身の体調だけでなく、お腹の赤ちゃんの健康を守るための大切なステップです。
・妊娠の時期によってリスクが変わる
・市販薬や漢方、サプリメントも自己判断で飲まない
・必ず医師や薬剤師に相談する
この3点が非常に重要です。妊娠中に薬が全く使えないと思っている方もいますが、そんなことはありません。苦しい状態を耐え続ける必要はありません。少しでも安心して薬が使えるように医師や薬剤師に相談するようにしてください。


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