「食前って何分前くらいに飲むの?」
「食間って食事中に飲むの?」
薬の服用タイミングは様々あります。副作用を回避したり、吸収に影響したりするため、指示通りに服用するようにしましょう。
「食前」「食直前」「食間」「食後」「食直後」…と様々ありますが、いつ飲めば良いかわかりますか?
今回は薬の服用タイミングについて紹介します。
1分1秒守らないといけない訳ではなので、参考程度に確認してみてください。
具体的な服用タイミング
早速ですが、それぞれの服用タイミングについてご紹介します。
服用タイミングのまとめ
ご紹介した服用タイミングについては下図にまとめてあります。
『食前と食直前』『食後と食直後』言葉は似ていますが、服用タイミングが少し異なっています。特に『食直前』は副作用を回避するために設定されていることがあるので、いつ飲むかが重要になります。
それぞれのタイミングについて確認してみましょう。
食直前
食直前は食事開始の『10分以内』のことを指します。食直前に服用する主な理由は次の2つです。
1.副作用回避・効果の最大化
糖尿病治療薬(α-グルコシダーゼ阻害薬、即効型インスリン分泌促進薬)が当てはまります。食事前30分ほどに服用すると低血糖のリスクがあるので、食事直前の10分以内に服用が重要となります。食後の血糖上昇を抑えるためにこのような服用タイミングとなっています。
2.吸収させるため
食後に服用すると吸収が低下し、効果を十分に発揮できない可能性があります。代表例として抗生物質の『クラバモックス(アモキシシリン+クラブラン酸)』がありますが、飲み忘れの観点からあえて『食後』で処方される場合もあります。
食前
食前は食事の『約30分前』のことを指します。食前に服用する理由は多々ありますが、主な理由は次の2点です。
1.食事による影響を回避するため
代表的な例として、吐き気止めの『ナウゼリン(ドンペリドン)』があります。消化のため、胃排出の遅延が生じます。消化管から吸収される薬剤の吸収が遅くなり効果する効果を得られない可能性があります。そのため、食事の前に服用することが重要となります。
2.効果を最大限発揮するため
例えば、便秘で使用される『グーフィス(エロビキシバット)』は、胆汁酸の再吸収を抑制することで効果を発揮します。食事の刺激で胆汁酸が十二指腸に放出される前に服用することで、より効果が期待されます。
食後
食後は食事後『30分以内』を指します。必ずしも食後でなければいけない薬もありますが、服用タイミングが分かりやすいなどの理由から食後とされている医薬品もあります。食後が設定されている主な理由は次の2点です。
1.消化管への刺激防止のため
痛み止めの『ロキソニン(ロキソプロフェン)』を薬局でもらう際に『胃に負担がかかるので一緒に胃薬出てます』や『空腹時に飲むと胃を荒らすので食後にしてください』などと言われたことはありませんか?
ロキソニンをはじめとした『痛み止め(NSAIDs)』は胃粘膜の産生、分泌を減少させてしまい、胃痛の原因となる可能性があるため、食後の服用となっています。
2.吸収させるため
脂溶性の医薬品に関しては、空腹時より食後の方が吸収が増加します。また、脂肪の多い食事も同様に吸収を促進することが知られています。
食直後
食直後は食事後『10分以内』のことを指します。食後と同様の理由になりますが、主な理由は次の2点です。
1.消化管への刺激緩和
消化器症状として『悪心、胸やけ、胃痛、腹部不快感』などがあります。胃内に食事が残っていることで消化器症状を軽減することができます。
代表的な例としては鉄欠乏性貧血に用いられる『リオナ(クエン酸第二鉄水和物)』やビタミンB1誘導体の『アリナミンF』があります。
2.吸収させるため
高脂血症に使用される『エパデール(イコサペント酸)』『ロトリガ(オメガー3脂肪酸エチル)』が代表例として挙げられます。脂溶性であることから、食事により分泌される胆汁酸が吸収に影響するため食直後の服用と設定されています。
食間・空腹時
おおよそ『食前後2時間』経過してから服用のことを指します。食間と空腹時はほとんど同じタイミングとなっていますが、医薬品によっては『食事の前1時間、食後2時間』細かく決められています。基本的に、胃の中に食事がないタイミングであれば問題ありません。
吸収に影響するため
食事により影響を受ける医薬品に関しては、安定した効果を得られるように『空腹時・や食間』と設定されています。食後では吸収されすぎてしまうもの、食後では吸収が遅れてしまうなど、様々な理由があります。
代表的なものとして花粉症や痒み止めとして使用される抗アレルギー薬の『ビラノア(ビラスチン)』があります。
就寝前
就寝前は布団に入る『30分以内』のこと指します。主な理由は次の2点となっています。
1.副作用回避のため
就寝前に服用する薬として想像しやすいのが『睡眠薬』かと思います。処方されたことのある方はご存じだと思いますが『傾眠(眠気)、めまい』が副作用として挙げられます。そのため、服用後に車の運転はもちろん、できれば入浴も避けていただきたいものになります。服用後はのんびりして寝るだけの状態にすることで『傾眠(眠気)、めまい』の副作用に気付かず過ごすことができます。
2.効果最大化のため
代表的なものとしては下剤の『プルセニド(センノシド)』や喘息で使用される『メプチン(プロカテロール)』などが挙げられます。
下剤は、翌朝の排便を期待しての服用タイミングとなっています。大腸検査などの際にも検査前日に服用することがあります。喘息は夜間・早朝に悪化する傾向があるあるため就寝前や朝の服用となっています。
起床時
起床時は文字通り『起床後すぐ』です。食事や水以外の水分補給をしないで服用するようにしましょう。
食事、ミネラルによる影響
代表的なものとして骨粗しょう症に使用される『アクトネル(リセドロン)』などのビスホスホネート製剤があります。非常に吸収されにくいため、食物や軟水以外(MgやCaを多く含むミネラルウォーターは注意)が胃の中に存在すると吸収が低下してしまいます。
また、服用後も30分は軟水以外の飲食はしないように注意してください。
頓服
基本的に食前や食後、関係なく『頭痛』『吐き気』『発熱』などの症状がある時に服用するのが頓服です。『1日●回まで』『▲時間空けてください』など指示があると思いますので、指示に従って服用してもらえれば問題ありません。症状が無い場合は服用しなくて大丈夫です。
まとめ ~服用タイミングを守りましょう~
今回は薬の服用タイミングについて紹介しました。
今回紹介した時間はあくまで目安として考えてください。
ですが、『吸収されるようにあえて』や『副作用回避のため』に設定されていることもあります。
特に、『空腹時や就寝前、起床時、食直前』などの場合は安易にタイミングをずらすのではなく、一度薬剤師に確認してみてください。
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