👵『便が数日出てないのよね』
👴『なんだかお腹に便残ってる感じする』
『便秘』という言葉は身近で、1度は『もしかして便秘…?』と思ったことはありませんか?
毎日出ないからといって便秘ではありません。
今回は『便秘』について『定義や診断基準、薬の働き方』について紹介します。
便秘の定義は…?
『毎日出ないから便秘』『出にくいから便秘』と簡単に定義できるものではありません。
『便秘』について、慢性便秘症診療ガイドライン2023では『本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便,排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態』と定義されています。
また、『便秘症』については『慢性的に続く便秘のために日常生活に支障をきたしたり、身体にも様々な支障をきたしうる病態』とされています。
⬇️診断基準については以下のサイトを参照ください⬇️
『慢性』であるかどうかについては『6カ月以上前から症状があり、直近3カ月で基準を満たしていること』とされています。
治療薬の働き方…
便秘薬の働き方はざっくり『便を柔らかくする』『消化管の動きをよくする』の2つです。分類と代表的な薬剤について紹介します。
浸透圧性下剤
塩類下剤(酸化マグネシウム)
腸内で吸収されにくい塩となって浸透圧を高めます。腸壁から水分を奪い、便を軟化させることで排便を促します。
代表例は『酸化マグネシウム』『マグミット』です。
糖類下剤(ラクツロース)
ラクツロースはヒト消化管粘膜では分解できず吸収されません。浸透圧により便を軟化させ排便を促します。
また、ウサギの腸管を用いた実験では、ラクツロースが分解され生じた『有機酸』によって腸管運動が亢進したことが報告されています。
代表例は『ラグノスNF経口ゼリー』『ラクツロースシロップ(小児のみ)』です。
高分子化合物、PEG(マグコロール)
マグコロール4000による高い浸透圧効果によって、消化管内に水分を保持します。用量依存的に便の排出を促進します。
代表例は『モビコール』です。
上皮機能変容薬
長年新薬が出ていなかった便秘薬
新たな選択肢として腸管に作用して効果を発揮する下記の2つが登場しました。
ルビプロストン(アミティーザ)
小腸にあるCLCー2クロライドチャネルを活性化し、腸管内への水分分泌を促進して便を軟らかくすることで、腸管内の輸送を高め排便を促進する。
リナクロチド(リンゼス)
腸管分泌及び腸管輸送能促進作用、大腸痛覚過敏改善作用により
排便異常や腹痛・腹部不快感の改善に寄与
胆汁酸トランスポーター阻害薬
『胆汁酸』は大腸内に水分を分泌させることに加え、消化管運動を促進させる物質です。胆汁酸を利用した下剤も登場しています。
エロビキシバット(グーフィス)
回腸末端部の上皮細胞にある胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制。大腸内に流入する胆汁酸の量を増加させ効果が発揮されます。
前述したとおりですが『胆汁酸』により大腸内の水分分泌と消化管運動の促進により排便を促します。
膨張性下剤
名前の通り、腸内で水分を吸収・膨張してゲル状となり、便塊の容積を増大させ腸壁を物理的に刺激し排便を促します。
慢性便秘に対する代表例は『カルメロース』です
刺激性下剤
腸管を刺激することで蠕動運動を促進する薬剤です。
ビサコジル(テレミンソフト坐剤)
結腸・直腸粘膜に作用して蠕動運動を促進、腸粘膜へ直接作用し排便反射を刺激する
また、結腸における水分の吸収を抑制し腸内水分を増加させる。
センノシド(プルセニド)
大腸に到達後、腸内細菌の作用でレインアンスロンを生成。
レインアンスロンが大腸粘膜下のアウエルバッハ神経叢を刺激することで大腸の蠕動運動を活性化し排便を促します。
炭酸水素ナトリウム・無水リン酸水素ナトリウム(新レシカルボン坐剤)
有効成分が直腸内の水分に溶けることで炭酸ガスが徐々に発生します。
ガスにより直腸粘膜に刺激を加えるとともに拡張し、排便刺激を与えるのが1つの効果です。
また、直腸粘膜に対する拡張刺激がS状結腸に伝わり、大腸の蠕動運動を誘発します。
まとめ
今回は『便秘』について『定義や診断基準、薬の働き方』について紹介しました。
便秘は自覚症状も非常に重要になってきます。
『●日出ていない』だけが判断基準ではありません。
不快感、痛みなどがある場合には早めに受診するようにしましょう。
皆さんが飲んでいる薬はありましたか?
完全に主観ですが、代表的な薬剤について記載しました。
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