お薬手帳ってなんであるの?

クスリ関連

『お薬手帳ってなんのためにあるの?』
『お金かかるだけじゃないの?』
『実際に活躍することあったの?』

薬剤師からクスリを受け取る際に必ずといっていいほど言われるセリフがありますよね?
『お薬手帳お持ちですか?』『次回は必ず持ってきてくださいね』

今回は『お薬手帳』についてまとめます。『お薬手帳持つかな…?』と少しでも思ってもらえたら幸いです。

お薬手帳の起源

お薬手帳がスタートしたきっかけをご存じでしょうか。

起源は、1993年の『ソリブジン事件』です。薬物相互作用によって15名もの方が犠牲になってしまった事件があります。
抗がん剤を投与中の患者さんに帯状疱疹が出現したため、1993年に発売された抗ウイルス薬(ソリブジン)を投与されてしまいました。抗がん剤の代謝が阻害されてしまい副作用が強く出てしまう結果となりました。

ソリブジン事件の重要な要因の1つとして
『複数の医療機関において処方箋が発行されており、併用されている薬剤がわかっていなかった』
ということがあり、『お薬手帳』がスタートすることとなりました。

お薬手帳の意義

お薬手帳の起源について紹介しましたが、どのような意義・活用方法があるのかご存じでしょうか?
お薬手帳の意義ついて厚生労働省では以下のように記載されています。

◎患者自身が自分の服用している医薬品について把握するとともに正しく理解し、服用した時に気付いた副作用や薬の効果等の体の変化や服用したかどうか等を記録することで薬に対する意識を高めること

◎複数の医療機関を受診する際及び薬局にて調剤を行う際には、それぞれの医療機関の医師及び薬局の薬剤師に見せることで、相互作用や重複投与を防ぐことにより、医薬品のより安全で有効な薬物療法につなげること

平成27年度厚生労働省委託事業 
『電子版お薬手帳の適切な推進に向けた調査検討事業 報告書』2,(1) 

お薬手帳は単に処方されたクスリの記録ではなく、以下2点のことを望んでスタートした取り組みということになります。
・患者さんに、クスリに関連する項目(副作用や効果など)の認識を高めてもらう
・医療関係者が、一緒に使うことが可能か、似たクスリが出ていないかチェックを行う

内容と活用方法

お薬手帳の中身をじっくりと見たことがありますか?
お薬の名前、量、アレルギーのあったクスリを正確に覚えていますか?

お薬手帳には、非常に重要な項目がありますので、一度確認してみてください。

重要な項目(記載をオススメする項目)

お薬手帳に是非記載してほしい項目は以下です。

緊急連絡先
血液型
既往歴、病歴
副作用歴
アレルギー歴(クスリ・飲食物・花粉など)

初めていった薬局でアンケートを求められたことはありませんか?アンケートに記載する項目と重複しているため、『お薬手帳に書いてます!』とお伝えいただければ省略できることもあります。

活用シーン

どのような場合にお薬手帳があると便利なのかというと、以下のような場合です。

複数の医療機関を受診している
・引っ越しにて新しい医療機関を受診する
旅行先での受診
・薬局で市販薬を購入する場合
・休日診療や救急搬送時(いつもと違う先生に診てもらう
災害時
・久しぶりに受診し、前回・過去と同じクスリを希望する場合

実際何を確認しているの?

では、お薬手帳を提示した時に何を確認しているのでしょうか。

・クスリの名前、用量、効き目の確認
・飲み合わせ、過去飲んだ際の効き目の確認
・持病の悪化時にどのような治療をしていたのか判断
・今までどのような治療であったか。
・似た薬剤が出ていないか。副作用・効果が増強しすぎてしまわないか。

お薬手帳は1人1つ持っておくべきです。重要なのが、複数の医療機関、診療科に受診するからといって使い分けのため複数冊使用しないでください。

お薬手帳の種類

お薬手帳には『冊子』『アプリ』の2種類があります。
私は冊子の方がよいと思っています。その理由は『災害時・救急の際にスマホのロック解除ができない可能性がある』からです。

なので、冊子のお薬手帳を活用し、クスリが変わるタイミングで写真フォルダに残すのがオススメです。
私の意見は置いておいて、それぞれの特徴についてお話していきます。

冊子型のメリット・デメリット

冊子のお薬手帳を何度も薬局で受け取ったことがある方もいるのではないでしょうか。
スマホより少し大きいサイズで『邪魔』と感じるかと思います。

冊子型にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

・治療の流れが分かりやすい
・メモなど、書き込みやすい
・全国薬局で普及している
・家族や医療機関でも預けやすい

デメリット

・持ち運ぶには不便
・シールの印字が薄くなる

・ページ数に限りがある
・保管場所を忘れてしまう
・なくしたときに復旧できない

アプリ型のメリット・デメリット(※種類よって機能が異なります)

アプリのお薬手帳の普及もかなり進んでいます。必ず持ち歩いている携帯にアプリを入れてさえしまえばよいので、医療機関に持参することを忘れることはないでしょう。

アプリにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

・持参忘れがほとんどない
・情報がたくさん蓄積できる
・様々な便利機能がついている


【便利な機能】
・クスリ・サプリメント情報の検索
・飲み忘れ防止のアラーム
・処方箋画像を事前に薬局に送信することで受け取り時間短縮
・近隣薬局の検索
・検査値の記録やグラフ化
・体調変化のメモ

デメリット

・医療機関で預けることに抵抗が強い
・端末のバッテリーに依存する
・パスワードを忘れると見れない
・操作に慣れる必要がある
・初めて処方箋画像を送る薬局には、確認が必要

まとめ

今回はお薬手帳の『起源』『意義』『活用方法』について紹介しました。

お薬手帳の目的はクスリ間の影響で患者さんへの不利益を少なくすることです。
加えて、『患者さんの治療の流れ、アレルギー歴』などがわかるため、『災害時』『救急時』『違うクリニックを受診するとき』に重宝します。

お薬情報を十分に確認するためにも、お薬手帳(冊子 or スマホ)を少しの間、預かる必要があります。スマホを預けることには抵抗があるのではないでしょうか。

是非、ご自身の身に降りかかる副作用リスクを低減させるためにも
お薬手帳(冊子)を保険証・診察券と一緒に保管して活用するようにしましょう

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