なんのために薬を使うのだろう

クスリ関連

・なんでこんなに薬が出ているの?
・飲む理由がわからない
・飲みたくない

一度は、疑問に思ったこと、医療従事者に質問したことがあるのではないでしょうか。
または、患者さんから言われたことが多くあるセリフではないでしょうか。
その際に皆さんはなんと回答されましたか?

初めまして薬剤師Tと申します。元国内メーカーMRのパパ薬剤師/Webライターとして活動しています。今回は薬を飲む理由について考えてみたいと思います。

医薬品とは…

医薬品を説明する際にどのような言葉を想像しますか?
『和らげてくれる』『治す』といったキーワードでしょうか。

薬機法上では、以下のように定義されています。

人または動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物…

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
第一章 総則 (定義) 第二条 二の一部抜粋

『診断』『治療』『予防』と言われてもあまりピンとこないかと思います。
各項目について具体例をお示しします。ご自身・患者さんがどのようなケースか照らし合わせながら、どこに当てはまるか考えてみてください。

診断?治療?予防?

診断

診断に用いられる薬剤は基本的に、病院やクリニックで使用されます。医師が原因や薬が効くのかを判断する以下のようなケースで用いられます。

・血液検査や尿検査の際に、血液・尿に異常がないか確認する検査試薬
・水虫など皮膚に住み着いている菌を特定する検査試薬
・がん細胞の変異がないか確認するコンパニオン診断薬
・CT、MRIなどの画像を見やすくする造影剤(バリウムなど)

処方箋を受け取り、薬局で直接手渡されるものは基本的にないと考えてもらえればと思います。

治療

ここから登場する『治療・予防』は薬局で渡される薬と大きく関わってきます。
治療には『根治療法(原因療法)』『対症療法』があります。

根治療法(原因療法)原因を取り除く、元に戻すことが目的
対症療法:痛みや咳などの症状を和らげることが目的

原因が明確であったり、症状が出てしまっているとき時に用いられるものです。

予防

対症療法と重なる部分もありますが、

・リスクのある患者さんを次のステージに移行させないように
・病気に罹ったとしても、軽くさせるため

予防に用いられる薬は、効果を実感できないものが多く含まれています。

『治療・予防』の具体例については次にお示しします。

薬局でもらう薬 『治療』『予防』の具体例

ここからは薬局で渡される薬による『治療・予防』の具体例を紹介します。

治療

【根治療法(原因療法)】
・抗がん剤によるがん細胞への直接攻撃
・抗菌薬や抗ウイルス薬による原因菌への直接攻撃(風邪や性感染症など)

キーワードは『直接攻撃』です。前項でも紹介しましたが、原因にアプローチし根治を目指す治療です。原因が取り除かれれば、薬を辞めることができる可能性があります。

【対症療法】
・解熱剤による熱の一時的な低下
・鎮痛剤による痛みの一時的な緩和
・咳止めによる咳の一時的な緩和

キーワードは『一時的な』です。出ている症状を和らげることが目的です。薬の効果が切れてしまうと症状が再び出てきます。症状が落ち着くまでは薬の使用を続けます。

予防

リスクのある状態を改善するために用いられます。治療と重なる部分もありますが、予防として紹介します。

・降圧薬での血圧コントロール。脳出血や心筋梗塞などへ発生予防
・抗凝固薬で血を固まりにくくする。脳梗塞や肺塞栓症などへの発生予防
・ワクチンによる感染予防、免疫獲得による症状の軽減

その他にも、糖尿病や痛風なども予防として薬が出されます。現状、原因を取り除く・元に戻すことができない病気です。次の病気へ進展させないために薬の継続が必要となります。

簡単にではありますが、『治療』『予防』について紹介しました。
ご自身のケースでは、『治療(根治療法)』『予防』どちらで薬を飲まれていましたでしょうか。

まとめ

今回は『薬を飲む理由』について『診断』『治療』『予防』の観点から、お話させていただきました。簡単にまとめです。

【診断】
 基本的に病院やクリニックで使われます。診断のものさしとして使われます。
 薬局などでは、出番はありません。

【治療】
 根治療法 (がん治療・感染症など)
  原因に『直接攻撃』し取り除く・元に戻すために使われます。
  →原因が取り除かれれば、薬を辞められる可能性があります。
 対症療法 (痛み・咳・熱など)
  痛みや咳に対する『一時的』な改善
  →症状が落ち着くまで薬を継続します。

【予防】 (高血圧・抗凝固薬・ワクチンなど)
 リスク因子を持った方を次の病気への進展抑制のために使われます。

医師が薬を出すには何かしら理由があります。
『私が飲んでいるのは、こんな薬か』
『患者さんにどうやって伝えよう』

ご自身・身近な方が、飲まれている薬について考えるきっかけになれば幸いです。

ご質問などありましたら、コメント・Twitterにてご連絡ください。

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